照明の勉強をしている中で、テキストを見ると、光束については、明確な定義がない。
なんとなく腑に落ちないながら、とりあえず先に進めるも、どうにもしっくり来ない。
光束とはなんであるか。
そもそも、光は電磁波であるから、その強さはエネルギーで表現するのが妥当である。即ち、
E = hν = h c/λ [J]
物理としてはこれで良い。
しかし、光を利用する「照明」の立場から考えると、仮に物理エネルギーの高い光があったとしても、実はこれを明るく感じるとは限らない。
この見え方という感覚的要素を、視感度kと定義する。要するにこいつが光束というのをわからなくしている元凶なのである。なんだそれは?と聞かれても、明確に答えようがない。明るく見える光の視感度は大きい値で暗く見える光の視感度は小さい値になるという、そんな量だと考えるほかない。さらに進めて同じエネルギーの光線で最も明るく見えるとされる波長555nmの緑色光の視感度kmとの比K=k/kmを、視感度の比ということで比視感度と定義する。
この比視感度は最も明るく見える光の場合1.0となり、それ以外は1よりも小さな数字に なるという意味では、視感度よりも納得しやすい量であろうと思う。
もう少し進めてみる。光には照射時間ということも考慮しないといけない。ここで単位時間当たりのエネルギーということでP[W] (W=J/s!)という量を考える。即ち、ある単位時間当たりでどの程度のエネルギーが与えられたかという量である。これを光の界隈では放射束と呼ぶのだが、言葉だけの話である。
この単位時間当たりに与えられたエネルギーに比視感度を乗じれば、なんとなく見え方を考慮したエネルギーっぽい量というのが定義できた気がする。
ただここで歴史的背景なのか確認が取れていないが、波長555nmの最も明るい光の視感度を683ということで定義されている。この物理的背景不明であるが、とにかく大きさを表す基準となる視感度km=683を使って、エネルギーっぽい量を定義すると
Φ=km K P = k(λ) P
という量が出てくる。これが実のところ光束というものであり、単位はlm (ルーメン)である。 ※人名由来ではないため、全部小文字。
結局、よくわからないのだが、そういうものだと思うほかない。上記の定義の式からすると、放射束Pに視感度k(λ)をかけたものが光束になっているが、現実的には、基準となる視感度km=683(単位はlm/W)と比視感度Kを使う式を覚えておくほうがよいと思う。